この本について
タイトル:予想どおりに不合理:行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
著者:ダン・アリエリー
出版社:早川書房
発売日:2013年8月23日
読もうと思ったきっかけ:行動経済学を勉強しようと思ったときに買ったが、読まずに本棚に眠っていた。読む本がなくなったので読んでみることにした。
要約と感想
経済学とは、経済的に利益のある合理的な行動を示した学問である。この学問に従えば誰でも最善の行動を取ることができる。
しかし人間とは不思議なもので最善でないとわかっていながらも、その場の状況や心理状態によって別の行動をとってしまうことがある。
人間が常に合理的な行動をとり続けることは不可能なのである。
行動経済学とは、そんな人間の心理を加味した経済学であるといえる。
人間の不合理な行動は行動経済学で説明が可能、つまり予想どおりに不合理なのである。
本書では、人間の様々な不合理な行動が実験とともに紹介されている。
例えば、被験者をグループに分け、パソコン上である画像を隣にある画像にひたすらドラッグ&ドロップするという作業をしてもらう。
1つ目のグループには、事前に報酬として少しのお金を渡し、もう1つのグループには無料で協力してもらった。
すると結果は報酬を与えたグループより、無報酬で協力してもらったグループの方が成績が良かったのである。
この世界には金銭のやりとりによって成り立つ「市場規範」と、やりがいや感謝など形のないもので成り立つ「社会規範」という信頼関係がある。
何か頼み事をされるとき、人間は無報酬であれば(社会規範)喜んで協力するのに、少量の報酬(市場規範)ではほとんどの人が立ち去ってしまう。
社会規範に少しでも金銭が絡むとその関係は一気に市場規範に切り替わり、労働者はやりがいや達成感を失ってしまうのである。
個人的にこの話はなんとなく理解できる。
お金をもらえることが確定しているとき「お金をもらっているのだから精一杯働こう!」というよりは「どれだけ楽をしてお金をもらうか」に頭が切り替わってしまっている気がする。
逆にお金が発生しない作業の場合はいかにして相手に喜んでもらうかを考えている。
無報酬より少しでも報酬があった方が良いに決まっているが、人間はなぜか少量の報酬では逆にやる気をなくしてしまうのである。
なんと不合理なのだろう。
この本ではそんなあるあるとも言える不合理な行動を紹介しています。
このような不合理な行動は人間である以上避けられない。
しかし不合理な行動をすることを理解しておくことで対策ができるのだと著者はいう。
まとめ:情動に惑わされない行動をしよう!
この本で行われている実験では、どれだけ人間が不合理な行動をとっているのかがよくわかります。
そしてそれは自分にも大いに当てはまり、頷きながら読了しました。
あなたの行動も実は合理的でないのかもしれません。
しかしそれは既に予想の範囲内。
人間は予想どおりに不合理なのです。
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